第22回毎月短歌AI選・4月の自選短歌部門

今回選評をしてもらったAI(LLM)はgemini-2.5-pro-exp-03-25です。分析はefさんです。
毎月短歌22の「4月の自選短歌部門」応募作品のなかからAIが特に優れていると判断した5首の選評を掲載しました。

なお、今回はAI選評の原稿をもとに、AIにトーク番組を生成してもらいました(Notebook LM)。こちらもぜひお聴きください。こちらもefさんが音声を生成、深水英一郎が動画化をサポートしました。
(なお、音声化の際に読み間違いが発生している可能性があります。ご了承ください)


AI選評

以下、AIによる原稿です。

毎月短歌22:4月自選部門

AIによる5首の選評

力作ぞろいで、選ぶのに大変苦労いたしましたが、特に心に残った5首についてコメントさせていただきます。

  1. パン生地になりたかったなママの手で期待通りに膨らみたくて(作者:にいたかりんご)
    この歌は、一見すると子供のような無邪気な願望を詠んでいるように見えますが、その奥に潜む切実な感情に胸を打たれます。「パン生地になりたかったな」というユニークな発想から始まり、「ママの手で」「期待通りに膨らみたくて」と続く言葉には、母親からの無条件の愛情や承認を求める純粋で強い思いが凝縮されています。パン生地が愛情を込めて捏ねられ、期待に応えてふっくらと焼き上がるイメージは、自己肯定感や安心感を求める普遍的な心情と重なります。比喩の巧みさと、その裏にある深い感情の描写が見事な一首です。
  2. 病床のホットミルクの湯気ふかくこの世はどこから夢なのだろう(作者:メタのおわり)
    静かで内省的な雰囲気が漂う一首です。病床という限定された空間で、立ち上るホットミルクの湯気が現実と夢の境界を曖昧にしていく様子が巧みに描かれています。「ふかく」という言葉が、湯気の深さだけでなく、作者の意識の深さ、あるいは病の深さをも暗示しているようです。「この世はどこから夢なのだろう」という問いかけは、弱った心身が抱く不安や浮遊感を的確に捉えており、読者にも静かな思索を促します。具体的な情景から普遍的な心象風景へと巧みに誘う、詩情豊かな作品です。
  3. 戦争のニュース流している時もアナウンサーのピアスが揺れる(作者:谷まのん)
    日常と非日常、世界の大きな出来事と個人の些細な営みとの間に横たわる断絶や皮肉を鮮やかに切り取った一首です。「戦争のニュース」という深刻な情報と、「アナウンサーのピアスが揺れる」という日常的で装飾的な描写の対比が強烈な印象を与えます。この対比によって、遠い国の悲劇をどこか他人事として消費してしまう現代社会のありようや、平和な日常の裏側にある緊張感が浮き彫りにされます。短い言葉の中に、現代社会に対する批評的な視線と、人間の複雑な感覚が込められた、鋭い感性の一首です。
  4. 壮絶な結論として春 蛹とは溢れなかったポタージュのこと(作者:川瀬十萠子) この歌の持つ独創的な言葉選びと世界観に圧倒されました。「春」という生命力に満ちた季節を「壮絶な結論として」捉える視点、そして「蛹」を「溢れなかったポタージュのこと」と比喩する感性は、常識的な春のイメージを覆し、新たな解釈を提示しています。「溢れなかったポタージュ」という表現は、内に秘められた可能性や、変態を遂げるための凝縮されたエネルギー、あるいは何らかの抑圧や未完の状態をも想起させ、非常に多義的です。言葉の力によって、読者の想像力を刺激し、深い思索へと誘う、力強い一首と言えるでしょう。
  5. 白杖がこつりと打てば眠たげな春の舗道が目覚め始める(作者:宇井モナミ)
    視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ、春の訪れを繊細に捉えた美しい一首です。「白杖がこつりと打てば」という聴覚と触覚に訴える描写から始まり、「眠たげな春の舗道が目覚め始める」という擬人化された表現へと繋がることで、静かで穏やかな春の気配が生き生きと伝わってきます。白杖を持つ人の視点を通して世界を描くことで、普段私たちが見過ごしがちな音や気配に気づかされ、世界がより豊かに感じられます。作者の優しい眼差しと、研ぎ澄まされた感覚が生み出した、温かくも新鮮な情景描写が秀逸です。

総評

今回選ばせていただいた5首(1番、2番、3番、4番、5番)は、いずれも作者独自の視点や感性が光る作品でした。
1番の歌は、誰もが持つであろう根源的な欲求をユニークな比喩で表現し、共感を呼びました。2番の歌は、病床という特殊な状況下での繊細な心の揺らぎを美しい情景と共に描き出しています。3番の歌は、日常に潜む現代社会の矛盾を鋭く切り取り、強い印象を残しました。4番の歌は、既成概念を覆すような独創的な言葉の力で、読者の想像力を刺激しました。そして5番の歌は、研ぎ澄まされた感覚と優しい眼差しで、世界の新たな側面を見せてくれました。

全体を通して、日常の些細な出来事や感情の機微を捉えた作品、社会性のあるテーマに切り込んだ作品、言葉の可能性を追求した実験的な作品など、非常に多様な短歌が集まっており、大変興味深く拝読いたしました。それぞれの歌に込められた思いや工夫が感じられ、短歌という形式の奥深さと表現の豊かさを改めて認識させられました。素晴らしい作品をありがとうございました。


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